撮影距離によって顔の形は違って見える

Noyes, E., & Jenkins, R. (2017). Camera-to-subject distance affects face configuration and perceivedidentity. Cognition, 165, 97-104.

履歴書やパスポート、そして丁度今の時期だと受験票など、顔写真を見て本人確認をする場面はたくさんあるかと思います。ただ、写真は撮り方によってかなり見え方が変わります。近くから(だいたい顔から30 cmくらい離れて)撮影すると、顔幅が狭く顎が細い、立体的な顔になります。一方、遠くから(だいたい3 mくらい離れて)ズームして撮影すると、顔幅が広く平面的に写ります。人の顔を認識・区別するには形の情報が重要だと言われていますが、撮影距離を変えるだけで形の情報が大きく変わってしまうわけです。では、同一人物を違う距離から撮った写真を見て、同一人物であると正しく答えることはできるのでしょうか?この研究では、異なる距離から撮影された写真を用いて、画面上に呈示された2枚の人物画像が同じ人物か違う人物かを回答させる実験を行いました。