「かわいい」に関する本を読みました

※本ページにはプロモーションが含まれています。

 

かわいいものが好きだ。

洋服、小物、アクセサリー、ネイル、メイクなど、自分自身も自分の身の回りのものも、なるべく自分がかわいいと思うものにしておきたい。学会で発表するポスターも、スライドも、なるべくかわいい(かつ見やすい)デザインになるように心がけているし、最近は暮らしの中で見つけたかわいいものをInstagramのストーリーに上げるなどしている。

では、この「かわいい」とは、一体何なのだろうか。何をもって「かわいい」と言うのだろうか。

お盆休み中に実家に引っ越してから、大学までの通学時間が2時間になった。このうち、電車に乗っている時間は1時間半ほどあるため、溜めに溜めていた積ん読を消化していくことにした。今回は、電車の中で読み切った「かわいい」に関する本を2冊紹介する。


1. 「かわいい」のちから 実験で探るその心理

まず、実験心理学の切り口から、「かわいい」とは何かについて説明されている『「かわいい」のちから 実験で探るその心理』を読んだ。この本では、ベビースキーマの話や、感情としての「かわいい」、「かわいい」がもたらす効果などについて著者の入戸野先生が研究室で行ってきた研究の話を交えながらわかりやすく解説されている。専門用語の多い硬い文章ではないため、実験心理学に馴染みのない人でも読みやすいのではないだろうか。

この本では、「かわいい」は対象の特徴というよりかは、対象を知覚したときに感じる感情であると解釈されていると私は理解した。「かわいい」は感情。


2. 「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識

次に、顔のかわいさ、特に女子の間で共有される「かわいい顔」に注目した『「盛り」の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識』を読んだ。女子の間では、化粧が上手くできたり写真写りが良かったりして、実際よりもかわいく見えることを「盛れた」と表現することがある。この本では、「盛れた」「盛る」とは一体何なのかについて、インタビューを通して考察している。著者の久保先生は工学系の研究者である。最終目標の「盛りを数式で表す」への到達を目指して、まずは女子たちへのインタビュー調査を行ったらしい。そのことの記録が、エッセーのような文体で書かれていたため、とても読みやすかった。これも、研究に馴染みのない人にもお勧めできる。

この本では、「かわいい」は同じ価値観を共有した仲間との閉じたコミュニケーションツールであると解釈されていると思う。外の人間が見るとみんな同じように見えても、内の人間から見れば個性がわかる・かわいいがわかるようになっている。「かわいい」は暗号。