今日は有休だったので、第46回KG CAPSセミナーに参加してきました。「horror」感情は「fear」や「awe」、「moral disgust」といった他のネガティブな感情と区別できるのか?というお話でした。とても面白かったです。今回の発表に関連する論文(発表者のTaylorさんが第一著者のもの)はこちらです。
以下、私の解釈です。
感情は環境の変化・状況(出来事)への反応のことです。そして、感情が喚起されたあとは、感情に応じた適応的な反応が引き起こされます。つまり、感情ごとに引き起こされる反応は異なります。そのため、
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- どのような出来事がどのような感情を喚起するのか
- 感情が喚起されたあとどのような行動が現れるのか
を理解することで、よく似た感情を区別することができると考えられます。
「horror」「fear」「awe」はどれもよく似た感情ですが(日本語での区別も難しいですね)、それぞれどのような出来事で引き起こされるのか、そして各感情が引き起こされたことによってどのような行動(反応)が現れるのかを調べてみると、どうもこれらはそれぞれ異なる感情だということがわかったようです。
これまでの研究では、
「horror」は「fear」と「(moral)disgust」、あるいは「fear」と「awe」が混ざった感情
だと考えられていました。しかし、調べてみるとどのような出来事で引き起こされるのか、感情が引き起こされたあとどのような行動を取る傾向にあるのかが異なっていることがわかりました。
例えば、「horror」と「awe」はどちらも「思ってもみないことが起こったとき」に感じる感情(scheme-incongruent emotion)です。しかし、「awe」が大きな存在(自然災害など)への感情であるのに対し、「horror」感情は「awe」よりも非常に大きな危害(e.g., 人が銃で撃たれる)への感情であるという違いがあるようです。また、「awe」が喚起されたあとは認知的な適応の必要性を感じるのに対し、「horror」が喚起されたあとは拒絶が生じるそうです。
以上のネガティブ感情たちは完全に分離できるというわけではなく、それぞれ共通する部分もあるにはあるようですが、これまでの研究で考えられてきていた『「horror」は「fear」と「(moral)disgust」あるいは「awe」が混ざった感情』はちょっと違うのでは?という話だと理解しました。
そういえば、「fear」や「(moral)disgust」は(「awe」も?)自分から積極的に感じに行こうとは誰も思わなそうですが、「horror」は自分から好んで感じに行こうとする人がいますよね。「怖いもの見たさ」と言いますか。ホラー映画やお化け屋敷が好きな人っているじゃないですか。「horror」はネガティブな感情なはずなのに、なんで喚起させに行きたくなるんでしょう……。不思議。
こういう話は今回の発表の中にはありませんでしたが、今後もしかしたら出てくるかもしれません(期待)。
英語があまり得意ではないので、上で書いた解釈は間違っているかもしれません。この話に興味を持った方は、上述のリンクを踏んで原著を当たっていただくことをオススメします。
以上、研究会の感想でした。