質感の記憶に関連する文献リストです。
object
short-term memory / working memory
- Tsuda, H., & Saiki, J. (2018). Constancy of visual working memory of glossiness under real-world illuminations. Journal of Vision, 18(8):14, 1–16. doi:10.1167/18.8.14
- 光沢感(contrast: matte – shiny, sharpness: smooth – rough)のWM
- 記憶課題(調整法)と知覚課題(マッチング課題)の両方実施
- 記憶刺激とテスト刺激の照明環境分脈が異なる場合でも、光沢感の2つの特徴についてよく記憶されていた。照明の違いの影響を受けないのは、知覚の場合と同様(先行研究と一致)。
- 記憶のエラーのパターンと知覚のエラーのパターンは似ている。
face
long-term memory
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- 顔再構成システムにおける情報表現手段として、線画と写真のどちらが相対的に有効かを検討した。
- 呈示された有名人が誰かを答える課題(実験1)では、写真が最もよかった。
- 未知顔を用いた記憶課題(実験2)でも、写真が最もよかった(学習刺激とテスト刺激でポーズが変わっていても)。
- Tagai, K., Ohtaka, H., & Nittono, H. (2016). Faces with light makeup are better recognized than faces with heavy makeup. frontiers in Psychology, 7:226. doi: 10.3389/fpsyg.2016.00226
- 化粧の程度によって記憶成績が変わる。
- 厚化粧は、すっぴんや薄化粧に比べて再認成績が低い(誤再認が多い)。
- 素顔に近い方が個人の形態的な特徴と顔表面の特徴がわかりやすかった可能性が示唆された。
short-term memory / working memory
perception
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- 画像を見て、写っている人物の名前を答えるか、その人物を特定できるような説明をする実験。
- 画像には線画や影のつき方が様々な線画があった。顔の特徴の輝度の違いの境界線を識別するように機械的に加工した(漫画カメラみたいな)。
- 有名人の顔は白黒線画であっても認識できる。
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- 肌の色情報がなく、最小限の質感情報だけで表現された顔(モデル)を見て、顔写真とマッチングできるか、馴染みのある人物の顔の場合は誰かわかるかを3つの実験を通して調べた。
- チャンスレベルは超えた(けど、天井に達するほど高くない)。マッチングは顔表面の解像度の影響を受けることから、部分的には三次元表面構造に基づいて判断していると考えられる。また、マッチングはモデルと顔写真の顔の向きや照明の種類の影響も受ける。
- 知っている顔であっても、モデルになると誰かを判断するのは難しい。
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- 顔の認識研究では、特にパーツ間の空間的な関係の分析がなされてきたが、顔の認識は形態情報よりも形態以外の情報(質感)の影響を受けることを論じたレビュー
- 形は顔を学習するときには重要だが、一旦学習してしまった後(親近性の高い顔)ではさほど重要ではない。質感は学習した後でも重要。
- Galper, R. E. (1970). Recognition of faces in photographic negative. Psychonomic Science, 19, 207–208.
- 顔写真がポジティブかネガティブ(明暗や色を反転させたもの)かによって、認識(継時比較、テスト時は写真が2つ呈示され、どちらが最初に呈示されたものと同じかを回答する)成績が変わるかを調べた。
- ネガティブ写真はポジティブ写真に比べて成績が低い。
- 顔写真は単なるパターンとしてではなく、顔特異的な特性の基盤の上で認識されている。ネガティブ顔写真を見て蓄積された情報では、ポジティブ写真での顔を推測することができない。
- Jaeger, B., Wagemans, F. M. A., Evans, A. M., & van Beest, I. (2018). Effects of facial skin smoothness and blemishes on trait impressions. Perception, 47(6), 608-625.
- 顔のシミや滑らかさは顔の印象に影響する。
- 滑らかな顔はシミのある顔よりも健康そう、能力が高そう、魅力的だと評価される。
- Tagai, K., Shimakura, H., Isobe, H., & Nittono, H. (2017). The light-makeup advantage in facial processing: Evidence from event-related potentials. PLoS ONE, 12(2): e0172489. doi:10.1371/journal. pone.0172489
- 2つの顔の継時比較(刺激間のブランク:300ms)+事象関連電位の測定
- 1つ目の顔と2つ目の顔の化粧が異なると、1つ目の顔と2つ目の顔の化粧が同じときに比べてパフォーマンスが下がる。
- 顔処理の初期段階を反映する事象関連電位(N170など)の振幅が、すっぴん・厚化粧のときよりも薄化粧(もっとも魅力的だと評価された顔)のときに小さかった。薄化粧は処理が流暢になるため好まれる可能性がある。
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