関西学院大学で講義をしたときの話

 

前回の記事から1年以上が経ってしまいました……。

2023年度は、同志社大学心理学部と、母校である関西学院大学文学部総合心理学科、商学部ビジネス情報コースの土方先生のゼミで講演をさせていただいた年でした。前回の記事では、同志社大学での講演について振り返っていますので、この記事では、(今更ながら)関西学院大学での講演を振り返ります。

 

文学部総合心理学科での講演

文学部の人文演習Ⅱにおける「心理科学専修キャリアガイダンス」では、2022年度(2022年12月)と2023年度(2024年1月)に講演させていただきました。2023年度で卒業となっており、現在は後輩の皆さんが担当されています。

人文演習Ⅱは学部1年生が秋学期(後期)に受講する必修科目です。翌春からはいよいよ専門科目が始まり、数週間に1度卒論の半分くらいの文量を書かねばならないレポートの提出が求められる心理学実験実習も始まります。

そのようなタイミングで一貫して伝えたかったことは、「実験実習や統計学などの必修科目でやることは、必ず実になり、どこかで役に立つようになる」ということです。

きっと、将来心理学の道へ進むわけではない学部生にしてみたら、どうしてこんなに辛いことをしなければならないんだろうと感じるのではないか、と思っています。ただ、社会に出て仕事をするとなると、「正確な日本語で論理的な文章を書ける」「相手に伝わる文章を書ける」ということができて当然のラインになります。

例えば、就職する際は大抵まず書類選考から始まります。採用担当者は書類に書かれた文章だけを読んで、その次の選考ステップに進むかを決めなければならないわけです。書類に書かれた文章がよくわからない人はその時点で落とされてしまいます。

文章はたくさん書かなければ上達しません。読書感想文やエッセイのような文章を書いたことはあっても、論文やレポートのような論理的であることを求められる文章を書いたことがある学生は多くはない気がしています。関学心理では、実験実習のレポートは教員とTA(大学院生)が総力を上げて添削をしますので、この機会を存分に生かして、正確な日本語で論理的な文章を書けるようになっていただきたいです。

また、昨今のビジネスではデータドリブンな意思決定を求められるようになっています。アクセス数や契約数など、数字情報を見て今後の方針などを決めなければなりません。統計学では、データをどのように見るか、そこから何をどう読み取るかを学びます。これを学生のうちに学んでおけることは、とてもお得だと思います。

数値が扱えるようになり、論理的な文章も書けるようになるーーこの経験は遅かれ早かれ役に立つ場面がやってきます。そのつもりで、2年生からの講義に臨んでほしいです。

以上のようなことを、当日はかいつまんでお話ししました。

 

 

商学部土方ゼミでの講演

商学部の土方先生のゼミでは、2023年度(2023年7月)に講演をさせていただきました。こちらはARISEとして参加させていただいたため、社内の分析事例も紹介させていただいています。

学部3年生・4年生向けということで、マーケティングとは何をする仕事なのかという紹介から始まり、なぜデータ分析が必要なのかや、分析を実施する際の手順についてお話ししました。ここで伝えたかったことは、「ビジネスにおけるデータ分析のプロセスは研究のプロセスとよく似ている」ということでした。問いを立て、仮説を考え、その仮説が支持されるかどうかを検証し、得られたデータから次にやるべきことを考えるーーまさに、学部生の皆さんが卒論研究でやっていることと同じです。卒論に向けて頑張ったことは決して無駄にはならない、むしろ社会に出て役に立つ経験になるということが伝わっていると嬉しいです。

自分が学生だった時は、大学での学びを通してロジカルシンキングや文章の書き方など、たくさんのスキルを身につけられていることに無自覚でした。これは、民間企業をターゲットにして就活をし、会社で仕事をするようになって初めて気がついたことです。今学部生であるみなさんにも気づいてもらうことで、大学で学ぶことに対してさらに前向きになってもらいたいなと思います。

 

 


 

今回の講演は、大学時代に学んだことがどのように今の仕事へとつながっているのかを、私自身が振り返る機会にもなりました。学生の皆さんにとっても、今の学びが未来の土台となることを、少しでも感じてもらえていたなら嬉しく思います。

こうした形で大学や教育現場と関わる機会をいただけることは、私にとっても大きな学びです。ご縁がありましたら、今後もさまざまな場でお話しさせていただけたらと思っています。

所属している会社では、ロジカルシンキングやデータ活用をテーマとした演習型授業の実施や、児童養護施設での講演など、さまざまな取り組みを行っています。私自身は現在、一橋大学にてPBL形式の講義(105分×13回)を担当しています。

教育機関や学生支援に携わる皆さまの中で、ご関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。