もうすぐ学振の季節ですね。令和5年度(2023年度)採用分の募集要項が既に公開されています。
学振を書くにあたって、過去に採用されたことがある先輩の書類を見せていただくと思います。ただ、それだけだと、どういうところが評価されて採用されているのかがわからなかったりしませんか?私は何もわかっていませんでした。
採用された先輩の書類の凄さは、落ちた人の書類と比較することで際立つと思います。なぜなら、不採用だった書類は何が足りていないものなのかを予め理解しておくことで、採用された書類の凄さが目に見えてくるからです。
そこで今回の記事では、学振に全落ちた私のDC1、DC2の1回目、DC2の2回目の書類を振り返り、何がダメだったのかを見ていきたいと思います。「こういう学振を出すと落ちるんだな〜」と、私を踏み台にして更なる高みを目指していってください。
DC1:はじめての学振(M2)
まず、1回目の学振はこんな感じでした →【PDF】(クリックすると見られます)
ここでの反省点は「最初の最初が魅力的でない」です。
指導教員をはじめ、多くの方に読んでいただいて修正を重ねているので、各文の日本語自体はちゃんとしていると思います(その節は本当にありがとうございました)。初稿の段階ではそれすらできておらず、何が言いたいのか全くわからない問題が大量発生していました……。すみませんでした……。1回目の学振は「そもそも文章を書くのが下手すぎる」を直すのが精一杯で、もっと改善しないといけなかったところまで辿り着けなかった感じがします。
今、改めて自分で読み直して思う、このときの「もっと改善しないといけなかったところ」第1位は、冒頭で私が何をしたいのかが伝わってこないところです。原因は、そもそも何故学振を書くのか、読み手に何を伝えないといけないのかを理解していなかったからだと思います。
学振を書くのは「こんな研究がしたいからお金を出してほしい!」とアピールするためです。しかも、めちゃくちゃ忙しい中、なんとか時間を作って書類を読んでくださる方を相手に、です。そのため、まず冒頭で自分が何をしたいのか(目指している最終ゴール)を示し、それに興味を持ってもらう必要があります。そうやって冒頭で「なになに?そんな面白そうなことをしようと考えているの?」と思ってもらえて、やっとその後の内容もじっくり読んでもらえるのだと思います。たぶん。
DC2:2回目の学振(D1)
次に、2回目の学振はこんな感じでした →【PDF】(クリックすると見られます)
ここでの反省点は「これからの研究で何をすべきかが分かりづらい」です。
DC2の1回目では、まず冒頭で何をしたいのかを書いています。そのため、「2. 【現在までの研究状況】」はなんとかいけている感じがします(※主観です)。ただ、その次の「3. 【これからの研究計画】」の「(1) 研究の背景」でDC1のときと同じ問題が発生しています。
2.で述べた研究状況を踏まえ、これからの研究計画の背景、問題点、解決すべき点、着想に至った経緯等について参考文献を挙げて記入してください。
と書かれているので、「2.の研究の背景のところで示したやりたいことを実現するためには、次に何をしないといけないのか」を1文目で明確にした方が良かったのではないかなと思います。
次にやらなければいけないことと、やらなければいけないと考えた根拠がはっきりしない以上、そのあとに書かれた実験計画が果たして妥当なものなのかがわからなくなってしまいます。なんかいろいろ実験をするみたいだけど、本当にこれで最終的に目指しているゴールに辿り着けるのか……?本当にできるのか……?お金を出しても「できませんでした」で終わってしまうのでは……?という気持ちにさせてしまうわけです。
※ 実際に審査された先生方に伺ったわけではないので、本当にこう思ってらっしゃるかは分かりません。
初めて自分の研究の話を聞いた方が「最終的に目指しているところはここなんだね、そのためにこれまでこういうことをやってきたんだね、そしてまだここが足りてないからこれからやっていくんだね」と具体的にイメージできないといけないのだと思います。「そこまでわかってるならあと必要なのはお金だけだね!OK、出しましょう!」と感じていただけることで、きっと採択されるんでしょうね。
DC2:3回目の学振(D2)
そして、3回目(最後)の学振はこんな感じでした →【PDF】(クリックすると見られます)
ここでの反省点は「上記のダメポイントが全く治っていない」です。
当時はここで述べているような反省点を言語化できていなかったので、DC2の1回目では改善されていた「冒頭でやりたいこと(最終的なゴール)を書く」も見られなくなりました……。あーあ……。
形式的な型に自分の話をなんとか当てはめようとだけしていて、何のために書くのか、何を伝えるために書くのか、最終的に自分は何を明らかにしたいのか等々、本質的なところがなーんにもわかっていなかったのだと思います。
なぜダメポイントが治らなかったのか、ですが、単純に学振の準備を始めるのが遅かったのだと思います。何かをするのに人の2倍の時間がかかるのであれば、それだけ早くから取り掛からないといけないのです。
準備の一つとして、何をどう書かないといけないのかをもっと言語化しておくべきでした。学振の書き方についての本を読んで、本に書かれている重要なポイントが採用された書類のどこに反映されているのかとか、逆に採用されなかった書類には何が反映されていなかったのかとかを言語化して、明確にする時間を設けた方がよかったなと思います。
おわりに
学振を書いている時点では、自分の書いた書類のダメポイントをなーんにもわかっていませんでした。何なら、当時、採用された申請書だけでなく、残念ながら不採用だった書類も見せていただいていたのに、それでもわかっていませんでした……。先輩の申請書を見て「わ〜!なんかすごいかっこいい〜!」と思って真似をしようとしたのですが、ちょっと語彙が増えただけで終わってしまいましたね……。
就活を始めて「そうだ、エントリーシートを書こう!」と思い始めた頃、ようやく上記の反省点に気がついてきました(遅)。そのため、エントリーシートを書くときには「何のために書くのか」「何を伝えないといけないのか」をかなり意識しましたし、その結果上記の反省点が直ったと思います。圧倒的成長ですね。
文章は書けば書くほど上達すると思います。一緒にがんばりましょう。