幾何学図形の知覚にも文化差がある

Ueda, Y., Chen, L., Kopeck, J., Cramer, E. S., Rinsing, R. A., Meyer, D. E., Kitayama, S., Saiki, J. (2017). Cultural Differences in Visual Search for Geometric Figures. Cognitive Science, 1-25.

この研究では、幾何学的図形の探索課題を日本人と北米人に対して行なっています。この研究では長い線分と短い線分、何もついていない円と線分つきの円、そして垂直線分と斜めの線分を使用しました。視覚探索課題を行い、探索非対称性の文化さを検討しています。その結果、北アメリカ人では「長い線分の(妨害刺激)の中から短い線分(ターゲット)を探す」「線分つきの円(妨害刺激)の中から何もついていない円(ターゲット)を探す」ときと比べて、「短い線分の(妨害刺激)の中から長い線分(ターゲット)を探す」「何もついていない円(妨害刺激)の中から線分つきの円(ターゲット)を探す」ときの方がターゲットを見つけるのが速いという結果が得られました。この傾向は日本人では見られませんでした。一方、日本人では「斜めの線分の(妨害刺激)の中から垂直の線分(ターゲット)を探す」ときと比べて、「垂直の(妨害刺激)の中から斜め線分(ターゲット)を探す」ときの方がターゲットを見つけるのが速いという結果が得られました。この傾向は北アメリカ人では見られませんでした。
今回の課題では注意の方略や思考・推論のプロセスを結果の説明とすることができません。したがって、以上の結果は文化とは関係なさそうな単純な刺激の知覚にも文化差が見られることを示唆しています。